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そらまめタグ解説① #手の知性 ―― 【マリア・モンテッソーリ編】

  • 7月8日
  • 読了時間: 4分

前回のブログで少しだけお話しした、アプリ(コドモン)で始まる「#そらまめタグ」。 これは単に小難しい理論を並べたいわけではありません。「これを知ると、先生たちがどんなプロの目線で写真を撮っているのかが分かって、毎日の記録が10倍おもしろくなる!」という、いわばプロの覗き窓のようなものです。

というわけで、そらまめの保育の土台になっている「6人の保育の先人(オタク)たち」の知恵を、今回から1人ずつじっくり解説していきます。

記念すべき第1回は、日本でも「モンテッソーリ教育」として広く知られる、イタリアのマリア・モンテッソーリです。よくテレビなどでは「エリートや天才を育てるための英才教育!」なんて紹介されがちですが、実はその始まりは、まったく違うものでした。


筋金入りの「観察オタク」だった女性医師

彼女がどんな人だったかというと、もともとは19世紀末のイタリアで、猛烈な男尊女卑の壁をぶち破って医学の道を志した、女性医師の先駆け(最初期の女性医学博士)です。

当時、女性が医学部に入るなんて前代未聞の時代。授業への出席を拒否されたり、嫌がらせを受けたりしながらも、彼女は一切屈しませんでした。卒業後は、厳しい環境にいる子どもたちのケアに飛び込み、そこで子どもたちの行動をずーーっと顕微鏡レベルで観察し続けた、筋金入りの「子どもの観察オタク」でした。

そんな彼女が、子どもたちが用意された環境の中で「ある特定の活動」に出会ったとき、まるで魔法にかかったように猛烈に集中し、何度も繰り返しながら、みるみる知性を開花させていく姿を目撃します。そこから彼女が導き出した事実が、「子どもは、手や五感の感覚を使って世界を理解し、自ら脳を発達させていく」ということでした。

もちろん、これは100年以上前のクラシックな理論です。現代の幼児教育の視点から見ると、「環境やルールをそこまでガチガチに固定せず、もっと柔軟に捉えてもいいよね」という部分(現代とのギャップ)も、実はあったりします。

最近では方法論として語られることもありますが、本来の彼女の思想は、決して高価な教材や特別な教室の中だけにあるものではありません。

お家にあるなんてことない日用品や、園庭の自然に触れながら、子どもが「自分で選んで、夢中になること」にこそ何よりの価値があるのです。

彼女がその壮絶な生涯をかけて証明した本質は、今も色あせない確かな事実です。だからこそ、私たちがアプリの記録でこのタグを添えるときは、こんな意味を込めています。

【#手の知性】 指先の感覚をフルに使って何かに猛烈に集中している姿は、まさに脳が育っているサイン。手を使って世界を理解しようとする、子どもの確かな知性の瞬間です。

たとえば園では、こんな姿にこのタグがつきます

  • 小さな大豆を指先でつまんで、別の器にそーっと、一粒ずつ集中して移し替えている時。

  • 園庭で見つけた小さな虫を、潰してしまわないように絶妙な力加減でそっとつまもうと、全神経を指先に集中させている瞬間。

  • お菓子の空き箱のテープを、じーっと手元を見つめながら、破れないように慎重に剥がそうと格闘している時。


先生たちの「プロの目線」の裏舞台

大人が「手伝ってあげようか?」と先回りしてやってしまうのは簡単です。でも、子どもが自ら「あ、こうやると上手くつまめるぞ」「この力加減だと潰れちゃうな」と、感覚を研ぎ澄ませて試行錯誤している瞬間こそ、まさに脳の回路が新しくつながっている真っ最中。

先生たちは、歴史と共に積み上げられてきた保育の理論をベースに、その「手元の集中」を絶対に邪魔しないよう、あえて静かに見守りながら、「いま脳が猛烈に育っているな」という確信を持ってシャッターを切っています


私たちが、あえて今マリアを挙げる理由

マリア・モンテッソーリが何よりも世界に伝えたかったこと。それは、子どもには大人があれこれ教え込まなくても、自ら触れ、学び、育っていく素晴らしい「自己教育力」が備わっているという事実でした。

実を言うと彼女は、100年以上も前に「自然こそが、子どもの精神と身体を育む最良の環境である」という言葉を遺しています。高価な教材に囲まれた室内だけでなく、生きている自然の中にこそ、子どもの五感を研ぎ澄ます「究極の本物」があることを見抜いていたのです。

だからこそ彼女は、大人が用意したお仕着せの道具や決まった教育法(型)よりも、そうした「本物」に子どもが直接触れることこそが何より大切だと訴えました。

お家のキッチンにある日常の道具、そして何より、園庭の泥や小石、草木、虫の命――。これら「本物の自然」に触れながら、子どもたちは自らの力でいくらでも脳を発達させていくことができます。

手元の集中(手の知性)の素晴らしさはもちろんのこと、この「自然が持つ計り知れない教育力」を誰よりも信じていた彼女のまなざし。それこそが、筑前町の豊かな自然と共に歩む私たちが、6人の保育の先人のトップバッターにマリア・モンテッソーリを挙げている一番の理由です。

アプリのキャプションにこのタグを見つけたら、ぜひお子様の手元の「大集中」と、その奥でフル回転している知性を、私たちと一緒に覗き込んでみてください。

 
 

© soramame_hoikuen

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