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一生を支える「自分らしさ」の土台づくり。 —— 倉橋惣三とモンテッソーリが教える0・1・2歳の価値

  • 4月27日
  • 読了時間: 4分

更新日:4月28日

はじめに

なぜ、今このコラムを綴るのか

日々、子ども達のニュースに触れるたびに色々な情報に出会います。そのような情報に触れるたびに 「早く言葉を覚えてほしい」「将来のために、今のうちに何かをさせなければ」。そんな風に、親としての深い愛情ゆえに、焦りや不安を抱えている保護者の方も少なくないのではないかと感じてしまいます。

しかし、子育てにおいて本当に大切なことは、目に見える変化よりも、むしろ「目に見えない時間」の中に隠れています。そらまめ保育園が「根っこ」を育てる保育にそこまでこだわるのか。「こんな事をこだわりながら保育している保育園がある」「その保育論の根拠は先人たちがこのように言ったからである」という事書く事でママやパパの気持ちが少しでも楽になってくれれば、と思い拙い文章ですが書かせていただこうと思います。


「根っこ」の時代 —— 0・1・2歳児の真実

ここ筑前町・弥永の空の下、子どもたちは今日ものびのびと過ごしています。季節が巡るたびに見せる豊かな自然は、私たち大人に「育てる」ということの本質を教えてくれている気がしています。

立派な大樹を育てるために必要なもの。それは、太陽に向かって伸びる枝葉の剪定でしょうか。それとも、早く花を咲かせるための肥料でしょうか。いえ、何よりも大切なのは、目に見えない「土の下」で、どれだけ深く、強く、広く根を張れるか。その一点に尽きるのではないでしょうか。

最近、保育の世界では「非認知能力」という言葉がよく使われます。意欲、粘り強さ、自己肯定感、感情のコントロール……。これらは、テストの点数やIQ(知能指数)といった目に見える能力を支える、いわば「心の根っこ」です。

日本の幼児教育の先駆者である倉橋惣三は、かつてこう言いました。

「幼稚園(保育園)は教育の場である前に、子どもが生活する庭である」

特に0・1・2歳児にとって、園での時間は「お勉強」の時間ではありません。安心して食べ、眠り、心ゆくまで遊ぶ。その「生活」そのものが、土壌を耕し、根を伸ばす作業なのです。この時期に「自分は受け入れられている」「世界は面白い!」という安心感に満たされることが、将来どんなに高い知性の枝を伸ばしても折れない、強靭な根っこになります


「今、これがやりたい!」は成長のサイン

では、土の下で根っこはどうやって伸びるのでしょうか。ここでヒントをくれるのが、マリア・モンテッソーリが提唱した「敏感期」という考え方です。子どもには、特定の事柄に対して驚異的な集中力を発揮する、一生に一度の特別な時期があります。

「なんでも触りたい、運びたい」

「道端の小さなアリを一心不乱に見つめている」

これらは一見、大人を困らせるいたずらに見えるかもしれません。しかし、これこそが「今、自分を育てるためにこの経験が必要なんだ!」という子どもからのサインなのです。

モンテッソーリは「手は突き出た脳である」とも言いました(元々はカントの言葉だそうですが)。手を使って直接何かに触れ、感触を確かめ、試行錯誤する。この「直接体験」の繰り返しが、脳の回路を繋ぎ、その子だけの「自分らしさ」という芽を育んでいきます。


私たちが「子ども達の気持ち」と「本物」にこだわる理由

今、世の中には「早くからこれをさせれば将来有利」といった情報があふれています。しかし、私たちは安易な流行や、目先の「成果」を保育として提供することはありません。私たちは、保育をビジネスとしてではなく、一人の人間の一生を支える「土台づくり」として捉えているからです。

ヘックマンも言っているように、乳幼児期に最も重視すべきは、目に見える知識の詰め込みではなく、この「非認知能力(根っこ)」の育成です。弥永の土の匂い、風の感触、アート活動での色の混ざり合い、実際に手で触れた野菜の味……。私たちが「本物」の経験にこだわるのは、それが子どもたちの未来を支える土台になるからです。。

効率や正解を求める必要はありません。自分の内側から湧き出る「やりたい!」に従って没頭する。この「自己充実」の瞬間をどれだけ積み重ねられるか。それこそが、私たちが教育機関として最も責任を持って取り組んでいる仕事です。


ひとりで抱え込まず、私たちを頼ってください

私たちの役割は、子どもを「型」にはめることでも、早く花を咲かせるよう急かすことでもありません。 弥永の土壌を豊かに整え、一人ひとりの「敏感期」に寄り添い、そっと必要な環境を差し出すこと。そして何より、子どもの小さな発見に共に驚き、共に喜ぶ「共鳴者」であること。

「見て!」「できた!」 その一言に、私たち大人が「本当だね、できたね!」と心を寄せる。その温かな眼差しこそが、土の下の根っこをさらに深く伸ばす、最高のおひさまになります。

焦らなくて、大丈夫です。 今、子ども達の心のなかでは、未来に向かって大きく羽ばたくための、とても静かで力強い準備が進んでいます。一人ひとりの「自分らしさ」が、いつか自分らしい花を咲かせるその日まで。私たちは保護者の皆さんと手を取り合い、この大切な「根っこの時代」を丁寧に、大切に守っていきたいと考えています。

 
 

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